| 13:30--14:00 | Pasan Sanjeeva*, Takumi Maruyama, Yoshiyuki Tsuji (Nagoya U.) |
| Trapping and de-trapping processes of small particle in thermal counterflow of superfluid He II. | |
| 14:00--14:30 | 三浦英昭*(核融合研)、S.K.Yadav(SVNIT)、荒木圭典(岡山理大)、R.Pandit(IISc) |
| 一様等方Hall MHD乱流の間欠性 | |
| 15:00--15:30 | 荒川隆之介*(長大)、北村拓也(長大) |
| 極低拡散率における粘性対流領域の出現 | |
| 15:30--16:30 | 大木谷耕司(京大・高等教育院/数理研) |
| 乱流素過程についての考察 | |
| 9:30--10:00 | 増田颯人*(阪大基礎工),小井手祐介(阪大基礎工),本告遊太郎(阪大基礎工),後藤晋(阪大基礎工) |
| 乱流中の秩序渦と高分子の相互作用 | |
| 10:00--10:30 | 岩島昌也*(東京科学大),大西領(東京科学大) |
| 乱流雲中における降水粒子成長のラグランジアン追跡計算 | |
| 11:00--11:30 | 蛭田佳樹(東理大) |
| アクティブ流体における境界条件の役割 | |
| 11:30--12:00 | 井上将太朗*(名工大工)、服部宏斗(名工大工)、内藤隆(名工大工)、渡邊威(名工大工) |
| 進行方向と逆向きの浮力を受ける渦輪の流動状態と到達距離の決定要因 | |
| 13:30--14:30 | 安田勇輝* (JAMSTEC), Tobias Bischoff (Aeolus Labs) |
| 流れ場の階層構造に基づくデータ駆動型の確率ダイナミクス | |
| 15:00--15:30 | 石原 卓* (岡大)、岡本直也(愛工大)、金田行雄(名大) |
| 乱流の大規模DNSによるエネルギー散逸率、エンストロフィー、および圧力のラプラシアンの統計のデータ解析 | |
| 15:30--16:00 | 北村拓也(長崎大学) |
| 乱流の第ゼロ法則について | |
| 16:00--16:30 | 河村哲也*(お茶大/(一財)エンジニアリング協会)、桑名杏奈(お茶大理)、山田道夫(京大数理研/(公財)国際高等研) |
| 種々の座標系による4次元球まわりの流れの数値シミュレーション | |
| 17:15-- | 懇親会 |
| (対面) |
| 9:30--10:00 | S.S. Kallyadan* (Kyoto U.) and T. Sakajo (Kyoto U.) |
| A Mesh-Free Area Estimator for Chaotic Mixing Regions Using Persistent Homology | |
| 10:00--10:30 | 荒木亮*(東理大理工)、橋本丈瑠(東理大理工)、田之上智宏(阪大理) |
| 2次元ゆらぐ乱流のスケーリング則 | |
| 11:00--12:00 | 能登大輔(北大工) |
| モデル実験による自然界の熱流動現象の探求 | |
| 13:30--14:30 | 松田景吾 (JAMSTEC) |
| 高レイノルズ数雲乱流中の雲粒のマルチスケール慣性クラスタリング挙動 | |
| 15:00--15:30 | 吉田恭*(筑波大数理物質)、三浦英昭(核融合研)、辻義之(名大工) |
| 散逸Gross-Pitaevskii乱流による熱対向流の相互摩擦 | |
| 15:30--16:00 | 荒木圭典(岡山理大) |
| 一様磁場、一様回転のある系でのHall MHD方程式系のモード分解 | |
| 16:00--16:30 | 稲垣和寛*(慶大)、吉田恭(筑波大)、金田行雄(名大) |
| Lagrange的繰り込み展開を用いたエネルギー散逸率の相関の非局所性の解析 | |
Pasan Sanjeeva*, Takumi Maruyama, Yoshiyuki Tsuji (Nagoya U.)
Trapping and de-trapping processes of small particle in thermal counterflow of superfluid He II.
Thermal counterflow of superfluid HeII is modeled by considering a interpenetrating mixture of two fluids called normal fluid and superfluid. Vortex lines associated with superfluid component become tangled in turbulent counterflow (or quantum turbulence) and small particles are highly affected by these quantized vortices. Such interactions between particle and quantized vortices influence statistics associated with particle motions and dynamics of the tangle. Analyzing particle-vortex interactions in quantum turbulence is essential to interpret the results from particle-laden experiments such as PIV/PTV, and reveal characteristics of thermal counterflow dynamics of superfluid He II. To gain insight into such interactions, we analyzed trapping and de-trapping processes of small particles. Here, trapping refers to the capture of particles by vortex lines, whereas de-trapping denotes the release of trapped particles from vortex lines. In this presentation, I discuss a comparison of the trapping and de-trapping processes of small particles and highlight several features of these processes based on two dimensional particle tracking velocimetry (PTV).
三浦英昭*(核融合研)、S.K.Yadav(SVNIT)、荒木圭典(岡山理大)、R.Pandit(IISc)
一様等方Hall MHD乱流の間欠性
Hall MHD乱流のMHDスケール・サブイオンスケールにおける間欠性について報告する。Hall 効果によるエネルギースペクトルの屈曲、構造関数の変化、空間構造の形成の関係について解析し、報告する。Hall項の導入により、サブイオンスケールでの乱流は、マルチフラクタル性を失い、よりモノフラクタル的になることなどを示す。
荒川隆之介*(長大)、北村拓也(長大)
極低拡散率における粘性対流領域の出現
スカラー拡散係数κが流体の動粘性係数νに比べ小さい場合,スカラーの時空間スケールが速度場の時空間スケールに比べ著しく小さくなるた ,直接数値計算(DNS)においては計算コストが高く,実験においては高分解能計測が必要となる.
そのため,スカラー拡散係数が非常に小さいときに存在すると考えられている粘性対流領域でのスカラーの振る舞いは長年に渡って未解決な問題となっている.
本研究では,粘性対流領域での二次のモーメントに付随する問題を解決するために,Navier–Stokes方程式に従う一様等方性乱流に対してLangein方程式に基づくLagrange的確率アプローチを導入し,第一原理に基づいた解析を実施した.
提案する手法を用いて,$1 \le \nu / \kappa \le 10^5$といった幅広い拡散係数の下で二次のスカラー構造関数を調べた結果,$\nu / \kappa \ll 10^3$においては慣性対流粘性対流領域の間にバッファー領域が存在するため,明瞭な粘性対流領域は現れず,$\nu / \kappa \gg 10^3$において,Batchelor定数が一定となる粘性対域が現れることが分かった.
大木谷耕司(京大・高等教育院/数理研)
乱流素過程についての考察 [招待講演]
乱流素過程に関して、Euler方程式の特異点研究のレビューとその拡張、Navier-Stokes方程式の自己相似解などについて報告する予定である。
増田颯人*(阪大基礎工),小井手祐介(阪大基礎工),本告遊太郎(阪大基礎工),後藤晋(阪大基礎工)
乱流中の秩序渦と高分子の相互作用
発達した乱流中には大小様々な秩序渦が存在する.ここに微量の高分子を添加すると,秩序渦が抑制され,乱流の構造や統計的性質が大きく変化する.この現象の物理機構は古くから時間スケールやエネルギーの観点から議論されてきたが,未だ完全な合意には至っていない.本研究では,この相互作用の物理機構を解明するため,乱流の直接数値シミュレーションと高分子モデル(FENEダンベル)のブラウン動力学シミュレーションを連成するEulerian-Lagrangianアプローチによる数値計算を実行する.講演では,乱流が持つマルチスケール性と高分子の空間局所的な伸長や配向に着目した解析により,物理空間における秩序渦と高分子の相互作用を議論する.
岩島昌也*(東京科学大),大西領(東京科学大)
乱流雲中における降水粒子成長のラグランジアン追跡計算
雲内の乱流は降雨形成に重要な役割を果たす.乱流が降水粒子 (水滴) の衝突成長に与える影響は,長年にわたり議論されてきた.近年では計算機性能の向上により,乱流の直接数値計算 (direct numerical simulation: DNS) によってこの影響を解き明かそうとする試みがなされるようになった.このようなDNS研究では主に,周期境界条件を課した立方体計算領域が用いられる.この計算設定は,数値 計算的には扱いやすい一方,物理的に不自然な点がある.重力落下する降水粒子は,計算領域を繰り返し通過するため,同一の環境を何度も経験する.一方,実際の雲では,粒径分布をはじめとする粒子統計量は高度に依存する.よってこの計算設定では,雲が有する鉛直構造が考慮されない.そのため,この雲の鉛直構造を踏まえて乱流が降雨過程に与える影響を評価するには,従来とは異なる計算設定が必要となる.
この解決策として本研究では,地面から雲頂までを包含する鉛直方向に十分長い準一次元計算領域を用いた.これにより,雲の鉛直構造を考慮しながら,乱流中における降水粒子の運動および成長を直接的に取り扱う計算が可能となった.
乱流が降雨過程に与える影響を調査するため,乱流場を導入した計算と導入しない計算を実行した.従来の周期境界条件を用いた計算では得られなかった時刻・高度に依存した粒子統計量を両者で比較することで,乱流が降雨過程に与える影響を詳細に評価することができた.
蛭田佳樹(東理大)
アクティブ流体における境界条件の役割
近年微生物や人口粒子を代表とする自己推進粒子の集団運動としてのアクティブ流体が注目を集めている。このようなアクティブ流体のパターン形成においては、境界条件の重要性が認識されているが、ニュートン流体の場合と異なり適切な境界条件は明確ではない。
本研究では、アクティブ流体の方程式としてTonner-Tu-Swift-Hohenberg方程式を扱う。境界で大きな流れを誘起するために境界条件が満たす条件を調べることで、境界条件と解の関係を議論する。また、高精度な直接数値計算の結果も紹介し、大規模循環構造が生まれるための条件も議論する。
井上将太朗*(名工大工)、服部宏斗(名工大工)、内藤隆(名工大工)、渡邊威(名工大工)
進行方向と逆向きの浮力を受ける渦輪の流動状態と到達距離の決定要因
密度の小さい流体を静止流体中へ下向きに噴出することにより,進行方向と逆向きの浮力(負の浮力)を受ける渦輪の運動を調査した.負の浮力を受ける渦輪は,連続的な噴出を伴う噴流に比べて遠くまで流体を輸送できる特性があり,その到達距離はフルード数(Fr)の一次関数で表されることが示されている.浮力が働く場合,ReとFrによって渦輪の流動状態が異なり、これらの流動状態が到達距離に与える影響は明らかになっていない。
また,渦輪は噴出口形状・ストローク比(L/D0)・レイノルズ数(Re)によってもその特徴を大きく変える.シリンダー径(Dp)と噴出口径(D0)の比が D0/Dp=0.5 のオリフィスから形成される渦輪は,ノズルに比べて1.45〜1.85倍大きな循環を獲得し,到達距離を延伸する.しかし,オリフィスから生成された渦輪は,せん断層が薄くKelvin-Helmholtz不安定性が強いため先導渦輪後方に小さな渦が巻き上がる,この小さな渦が先導渦輪と合体することで渦輪が形成されるためノズルよりも乱れの強い渦輪を形成する.
本研究では,Re・Fr・L/D0(1000 < Re < 12000, 0.5 < Fr <∞,1.0 < L/D_0 < 3.0)において2種類の噴出口形状(ノズルとオリフィス) を用いて流動状態の詳細な調査を行った.その結果,渦輪の流動状態は,1)層流を維持したまま減衰,2)周方向の波状変形による乱流遷移,3)Rayleigh–Taylor不安定性による乱れ強さの増大,4)形成直後からの乱流渦輪,の4つに分類されることが分かった。
興味深いことに,概ね渦輪の形状が保たれる場合には,流動状態の差異によらず実験したほぼすべての範囲で到達距離がFr数の一次関数となることが確認された.しかしながら,噴出口形状や噴出体積(ストローク比)が変化すると,その直線の傾きに大きなばらつきが生じた.これは,噴出孔形状や噴出条件[tn1.1]によって形成された渦輪に働く浮力・循環・半径の大きさが異なっていることに起因すると考えられた.そこで, 形成直後の渦輪の循環と浮力の大きさを推定し,それに基づいたFrによって整理したところ,到達距離を概ね一つの直線であらわすことができた.
安田勇輝* (JAMSTEC), Tobias Bischoff (Aeolus Labs)
流れ場の階層構造に基づくデータ駆動型の確率ダイナミクス [招待講演]
流れ場の時間発展を予測するうえで一つの問題は,観測や数値計算で扱う空間スケールより小さい変動による不確実性をどのように表すかであ
る.近年,深層学習に基づくデータ駆動型モデルは有力な予測法として発展している.しかし,状態から状態への変化を単純に学習するだけで
は,小スケール変動に起因する不確実な時間発展を捉えにくい.本講演では,この問題を考えるために,確率過程,スケール分離,くりこみ群
,経路積分といった統計物理学の考え方を概観し,データ駆動型モデルとの理論的な関係を整理する.そのうえで本研究では,くりこみ群によ
り流れ場の空間スケールの階層を構成し,各階層における流れ場の時系列の確率分布を経路積分で記述する.この定式化に基づき,粗視化され
た流れ場の確率ダイナミクスをデータから学習する理論的枠組みを提案する.適用例として,Lorenz-96 系と二次元 Kolmogorov 流の結果を示
す.流れ場の階層構造を利用することで,時間方向の予測と確率分布による不確実性の記述を結びつけ,予測・生成・超解像といった複数のタ
スクを統一的に扱える可能性を議論する.
石原 卓* (岡大)、岡本直也(愛工大)、金田行雄(名大)
乱流の大規模DNSによるエネルギー散逸率、エンストロフィー、および圧力のラプラシアンの統計のデータ解析
一様等方性乱流の大規模直接数値計算(格子点数とテイラー長に基づくレイノルズ数が各々最大で$16384^3$と$1740$)のデータを用いて、エネルギー散逸率、エンストロフィー、および圧力ラプラシアンの スペクトルと二点相関関数のレイノルズ数依存性について解析した結果を報告する.
北村拓也(長崎大学)
乱流の第ゼロ法則について
十分高いレイノルズ数において,平均エネルギー散逸率は有限値を保ち,粘性に依存しなくなることが知られている.
この事実は乱流の第ゼロ法則として広く受け入れられており,Kolmogorov理論およびOnsager理論によってしばしば説明されてきた.
本研究では,乱流の第ゼロ法則の起源とその物理的解釈を明らかにするために,(i) 非理想的な乱流におけるエネルギー散逸率の振る舞い,な
らびに (ii) スペクトル打ち切りEuler方程式の動力学とNavier–Stokes乱流との類似性について議論する.
河村哲也* (お茶大/(一財)エンジニアリング協会)、桑名杏奈(お茶大理)、山田道夫(京大数理研/(公財)国際高等研)
種々の座標系による4次元球まわりの流れの数値シミュレーション
4次元球まわりの流れを4次元の非圧縮性ナビエ・ストークス方程式を数値的に解くことにより解析し、3次元球や2次元の円まわりの流れとどのような違いがあるかを調べた。その結果次元が増えるに従い、ウェイクの大きさが小さくなり、それが原因で抵抗係数が減少することがわかった。なお、計算にはデカルト座標(球が小さな超立方体の集まりで近似的に表現される)と4次元球座標を用いた。後者については方程式を独立変数のみ一般座標変換したものと球座標の速度成分を未知数にしたものの両方に用いた。乱流の研究会なので高Reynolds数の結果について主に報告する。
S.S. Kallyadan* (Kyoto U.) and T. Sakajo (Kyoto U.)
A Mesh-Free Area Estimator for Chaotic Mixing Regions Using Persistent Homology
How can mixing be quantified directly from Lagrangian tracer data? Quantifying the spatial extent of chaotic mixing regions from a finite cloud of passively advected tracer particles, without introducing a spatial grid or explicitly reconstructing their boundaries, is challenging. In many incompressible flows, chaotic mixing coexists with coherent structures that inhibit transport, making the extent of the mixing region difficult to determine directly from particle data.
In this talk, I present a mesh-free area estimator based on the degree-zero persistent homology of the tracer cloud. The finite death times in the persistence diagram are precisely the edge lengths of the Euclidean minimum spanning tree. Using Steele's asymptotic theorem for random minimum spanning trees, we obtain a scaling law whose inversion provides an estimate of the area of the chaotic mixing region directly from particle positions.
I will describe the construction, assumptions, and limitations of the estimator, and show how its time evolution can be used to quantify mixing efficiency. The method is validated using standard chaotic maps and a model vortex flow.
荒木亮*(東理大理工)、橋本丈瑠(東理大理工)、田之上智宏(阪大理)
2次元ゆらぐ乱流のスケーリング則
決定論的Navier-Stokes(NS)方程式はさまざまな流体運動を記述する支配方程式として受け入れられてきた.しかし近年,これに第二種揺動散逸散逸関係を満たす熱ゆらぎを加えて定式化されるゆらぐNS方程式への注目が集まっている.この枠組みは決定論的NS方程式よりも幅広いスケールを記述でき,熱力学と整合するため非平衡統計力学が素直に適用できるといった利点がある.本講演ではとくに,2次元ゆらぐNS方程式が励起する乱流のスケーリング則に注目する.
2次元乱流の特徴には,外力の長さスケールより低波数側ではエネルギがより大スケールへと逆カスケードし,高波数側ではエンストロフィがより小スケールへ順カスケードする二重カスケードがある.ゆらぐ2次元乱流では,これらに加えて熱ゆらぎによるエネルギ等分配則領域が高波数領域に励起される.我々は,格子Boltzmann法や差分法など様々な手法を用いて統計的に定常な2次元ゆらぐNS乱流の直接数値計算を実行し,これら三種類のスケーリングが共存する流れを実現した.とくにエネルギ等分配則に注目すると,完全な非圧縮性を仮定した理論とは異なるスケーリング係数が得られた.また,流れ場をHelmholtz分解することで,圧縮性ゆらぐNS方程式の非圧縮極限では圧縮性の寄与が熱ゆらぎによって増幅されることが明らかとなった.
講演では上記のスケーリング則に加え,ゆらぐ系に対する熱力学的枠組みである情報熱力学をもちいた2次元ゆらぐNS乱流の情報熱力学描像についても議論したい.
能登大輔(北大工)
モデル実験による自然界の熱流動現象の探求 [招待講演]
熱流動現象は自然界に遍在し,周囲の環境に応じた多様な応答を見せると同時に,それらを形作る.本講演では熱水噴出孔などに顕著な「超狭空間内の熱対流現象」と氷山・海氷に着想を得た「浮遊氷塊の融解ダイナミクス」に対する最近の実験的研究の成果を紹介する.
松田景吾 (JAMSTEC)
高レイノルズ数雲乱流中の雲粒のマルチスケール慣性クラスタリング挙動 [招待講演]
積雲や積乱雲などの対流雲の中では,凝結により発生した多数の雲粒(水滴)が雨滴へと成長し,降雨をもたらしている.雲粒が雨滴へと成長する過程では,雲粒同士の衝突併合が不可欠であり,雲の中の乱流がその衝突併合を促進している.その際,慣性力によって雲粒が乱流渦から掃き出されることで慣性粒子クラスタリングと呼ばれる不均一な空間分布が現れ,これが衝突併合を促進する要因のひとつとなっている.慣性粒子クラスタリングについては長年研究が行われてきたものの,実際の雲乱流のような高レイノルズ数乱流におけるクラスタリングについては未だ十分に明らかになっていない.そのため,本研究では直接数値シミュレーション(DNS)を用いて,高レイノルズ数乱流中の雲粒のクラスタリングのマルチスケール構造の解明に取り組んでいる.近年では,格子点数$4096^3$,粒子数224億の大規模DNSにより得られた粒子の空間分布を用いて,乱流の慣性小領域のスケール範囲における数密度スペクトルを調べ,単純なべき乗則ではないスケール依存性が現れることを明らかにした.本講演ではこの研究の詳細と今後の展望等について紹介する予定である.
吉田恭*(筑波大数理物質)、三浦英昭(核融合研)、辻義之(名大工)
散逸Gross-Pitaevskii乱流による熱対向流の相互摩擦
熱対向流に対応する条件下で散逸Gross-Pitaevskii(DGP)方程式に従う量子流体乱流の数値シミュレーションを行い、超流動成分と常流動成分の間に生じる相互摩擦を評価した。超流動成分と常流動成分の平均相対速度は相互摩擦による加速度に対して次元解析によるスケール則と整合した。そのスケール則の比例係数とDGP方程式の現象論的散逸パラメタの関係を調べた。また、循環が量子化された渦糸の平均間隔を見積もり、それと相互摩擦の関係も調べた。
荒木圭典(岡山理大)
一様磁場、一様回転のある系でのHall MHD方程式系のモード分解
一様磁場、一様回転のある系での Hall MHD 方程式系の線形波に基づいたモード展開について報告する。基準となるモードは一様磁場、一様回転のもとでの線形波であるが、Hall MHD の Lagrange 的記述における一般化速度、一般化運動量、一般化「渦度」の枠組みに合致した扱いができ、一般化速度空間と一般化運動量空間の双直交基底をなしている。この基底を用いることで非線形項のモード展開はきわめて対称性の高い形に整理できる。
稲垣和寛*(慶大)、吉田恭(筑波大)、金田行雄(名大)
Lagrange的繰り込み展開を用いたエネルギー散逸率の相関の非局所性の解析
エネルギー散逸率は乱流の統計的振る舞いの記述において重要な物理量の一つである.十分に高いReynolds数の発達した乱流中では,エネルギー散逸率はKolmogorov長さ程度の小さな渦が担っていると考えられている.一方,これまでの非圧縮流体の実験や直接数値計算によれば,空間の各点のエネルギー散逸率は,Kolmogorov長に対して桁違いに大きい非局所的な長距離相関を持つことが示されている.動粘性係数で除したエネルギー散逸率と同じ次元を持つエンストロフィーについても同様な長距離相関が示されている.ところが,エンストロフィーと同じ次元を持つ圧力のLaplacianは,そのような長距離相関を持たない.本講演ではエネルギー散逸率やエンストロフィー,圧力のLaplacianのスペクトルについて,Lagrange的繰り込み展開を用いて解析した結果を報告する.本解析の結果,スケール間相互作用の観点から,長距離相関の発現には波数空間における局所的な三波結合と非局所的な三波結合の両者が必要であることが示される.また,エネルギー散逸率やエンストロフィーと異なり,圧力のLaplacianが長距離相関を持たない原因として,速度場の非圧縮性が重要な役割を果たしていることが示される.すなわち,運動学的条件が長距離相関の発現において重要であることを示している.
Takeshi Matsumoto, takeshi _AT_ kyoryu.scphys.kyoto-u.ac.jp