流体物理学ゼミナール2010/08/02

流体力学セミナー流体力学セミナー

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流体力学セミナー 2010

日時: 8月2日(月) 15:00 から 16:30

場所: 京大 数理解析研究所 204号室

講師: 勅使河原 良平氏(京大理)

題目:蒸発と液化を伴った濡れ動力学: Dynamic van der Waals理論

概要:
濡れは、身近でありふれた現象である。応用的には、塗装、印刷、防水・撥
水加工された服や車両、基盤の洗浄など広い分野で関係している。そして、
濡れに関する多くの研究が物理学的に行われてきた[1,2]。しかし、その多
くは不揮発性の流体に対するものであり、揮発性の流体に関する研究はまだ
十分になされていない。特に、理論的側面からの揮発性流体の濡れダイナミ
クスの解明は不十分である。

そこで我々は、dynamic van der Waals理論[3]を用いて、揮発性流体の濡れの
ダイナミクスを計算機シミュレーションによって調べた。このdynamic van
der Waals理論は、二相流体に対するphase-fieldモデルであり、van der
Waals流体(液相・気相)の運動を記述する。温度は各所で与えられるので、
不均一な温度場を実現できる。それにより、蒸発や液化に伴う潜熱流を記述
することができる。流体は一成分流体としている。

本講演では、dynamic van der Waals理論について説明するとともに、以下の
二つの系でのシミュレーション結果について話す予定である。

(1)部分濡れの条件で固体床に液滴をのせ、床を加熱した場合[4]。
このとき、蒸発は接触線の近くでのみ起きていることがわかった。

(2)完全濡れの条件で固体床に液滴をのせ、床を冷却した場合[5]。
このとき、液滴は先行薄膜(precursor film)を形成しながら床を拡が
っていく(spreading)。液化は主に先行薄膜で起きており、接触線近く
で特に強い液化が見られた。この系において、先行薄膜の成長には
液化が大きく寄与していることがわかった。

ただし、この二つの系では共に、流体は円柱状の箱に封入されているとしている。
そして、軸対称系を仮定している。

参考文献
[1] P.G. de Gennes, “Wetting: statics and dynamics”, Rev. Mod. Phys.
57,827 (1985).
[2]D. Bonn, J. Eggers, J. Indekeu, J. Meunier, and E. Rolley,
“Wetting and spreading”, Rev. Mod. Phys. 81, 740 (2009).
[3] A. Onuki, “Dynamic van der Waals theory”, Phys. Rev. E, 75,
036304(2007)
[4]R. Teshigawara and A. Onuki, “Droplet evaporation in
one-component fluids: Dynamic van der Waals theory”, EPL,
84, 36003 (2008).
[5] R. Teshigawara and A. Onuki, “Spreading with evaporation and
condensation in one-component fluids”, arXiv: 1005.1020 (2010).

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世話人:山田 道夫(京大数理研), 藤 定義(京大),松本 剛(京大理)
アドバイザー:船越 満明(京大情報学)、水島 二郎(同志社大工)、
余田 成男(京大理)
連絡先:山田道夫 yamada@kurims.kyoto-u.ac.jp
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