流体物理学ゼミナール2007/11/26


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流体力学セミナー 2007 No. 5

日 時 : 2007年 12 月 3 日 (月) 15:00〜16:30

場 所 : 京大数理研 009号室

講 師 : 田口智清 氏
(神戸大 自然科学系 先端融合研究環)

題 目 : 周期構造を持つ多孔質中を流れる希薄気体流の拡散モデル

内 容 :

気体分子の平均自由行程が系の代表長に比べて無視できない系における気体の
振る舞いを考える場合,局所平衡状態を前提とする巨視的気体力学ではその振
る舞いを正確に記述できず,より微視的な視点に立つ分子気体力学によらなけ
ればならない.従って,低圧気体(高層気体)やマイクロスケール流の理解と
正確な記述には分子気体力学に基づく考察が必要不可欠であり,近年ますます
その重要性を増しつつある.特に,希薄気体においては,熱的効果によっても
流れが誘起されることが知られており,熱駆動型非機械的ポンプなどへの応用
も近年盛んに研究されているところである[1].

本講演では,径の大きさが平均自由行程程度である微細細孔を持つ多孔質体と
その中を流れる希薄気体流を考え,多孔質が周期的構造を持つ場合に,多孔質
中の質量と熱の振る舞いを記述する拡散モデルを分子気体力学に基づき導出す
る.また,拡散モデルに含まれる拡散テンソルを,多孔質が正方配列円柱群で
ある場合にBoltzmann方程式のBGKモデルを用いて,広い希薄度の範囲にわたり
具体的に構築する.さらに,古典的なDarcy則に対する希薄化の効果も議論す
る.最後に,導出したモデルの圧力差による流れへの適用例を紹介する.

[1] Y. Sone, Molecular Gas Dynamics: Theory, Techniques, and
Applications,(Birkhauser, Boston, 2006).

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世話人:松本 剛(京大理)、山田 道夫(京大数理研),藤 定義(京大理)
アドバイザー:船越 満明(京大情報学)、水島 二郎(同志社大工)、
余田 成男(京大理)
連絡先:yamada@kurims.kyoto-u.ac.jp

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